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日本の政策:財政刺激策、日銀の国債買い入れ拡大、…12月の選挙の可能性
2016年05月06日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


日本の政策立案者は向こう数カ月の間に追加的な成長戦略を打ち出す見通しである。財政と金融の両面で緩和を実施すると予想され、日銀が国債買い入れ額の目標を引き上げることで今月末までに補正予算(5~8兆円、GDPの約1~1.5%に相当)を編成するとみられる。

 

日銀は金融政策単独での効果が薄れていることを認識しており、明確な追加刺激策を導入しなかった。日銀が前例のない緩和策を導入してからのこの4年間、中央銀行の動向に注目するエコノミストは一貫して日本の潜在成長率を下方修正している(3年前の1%前後から現在では0.5%弱に低下)。端的に言うと、国内の名だたるアナリストは中央銀行のアクションが国家に富みをもたらすとは全く考えていない。すべてを勘案している黒田日銀総裁にとって、このメッセージは明確である。すなわち、日銀だけでは景気を浮揚させることはできない。 

 

皆が注目する安倍首相の決断

 

財政政策と構造政策の協調によってのみ、中央銀行のバランスシートは総需要と将来の成長性に寄与することが可能である。安倍首相はこの点をよく理解しており、「三本の矢」は金融、財政、規制の3分野で指導力を発揮し協調していくという強い意志を象徴している。 それぞれ一本の矢だけでは折れやすいが、三本が一緒になれば力は強固になる。しかし、「三本の矢」は3年間以上にわたって健全な経済政策を提唱してきたが、目に見えた成果はまだ出てきていない。つまるところ、「アベノミクス」が機能していれば、国内有数のエコノミストがGDP予測を下方修正するはずはないのである。

 

チーム安倍はこの点を十分に認識しており、成功に向けて弛みない努力を続けるとみられる。ただし、見落としてはならないのはチーム安倍を構成しているのはほとんどが政治家であり、政治家は金融市場に指示を出すだけではなく数々の複雑な課題を解決する必要に迫られている。選挙やリーダーシップを握るための諸外国との交渉はその例である。年初からチーム安倍が経済政策に対する切迫感をやや欠いているのは、伊勢志摩サミットで日本が世界のリーダーであることを印象付けたいと首相が望んでいることが原因であろう。

 

5月20~21日のG7財務相・中央銀行総裁会議(仙台)に続いて、5月26~27日には伊勢志摩サミットが開催される。日本はサミットの直前に具体的な財政・金融政策を発表すると当社は予想している。現在、安倍首相とサミット担当者は欧州を訪問中で、各国の首脳から財政刺激策の拡大への賛同を取り付けようとしている。今回の訪問で安倍首相が成果を収めれば、世界経済にとって政策主導の重要な転換点となろう。日本と欧州に加え、3月の共産党全国代表大会で大規模な財政拡大策を打ち出した中国も緩和に踏み切る可能性があろう。

 

 

日本の政策の具体的なシナリオ

 

当社の基本シナリオは追加経済対策(5~8兆円規模、GDPの1~1.5%に相当)を打ち出すと予想しており、そのために日銀は国債の買い入れ目標を引き上げるとみている。具体的な内容としては、ASEAN諸国のインフラ整備向けの外貨建てローン・ファシリティの拡大、「経済特区」の投資押し上げに向けた融資、大規模地震で打撃を受けた地域のインフラ復旧・復興、高齢者世帯・子育て世帯への現金支給の増額、「ワーキングプア」や低所得の年金受給者への支給額引き上げなどに充てられるとみられる。

 

 

市場へのインパクト – 優良な輸出企業を後押しする世界的な財政刺激策

市場にインパクトをもたらすのは、世界的な景気押し上げであり、資本財を中心とする輸出がカギになると考えている。安倍首相が諸外国から財政出動を引き出すことができれば、日本の輸出関連優良株はアウトパフォームに転じるだろう。不動産業、建設業、中小型株に対しては強気な見方を維持する。 

 

 

2017年の消費税率引き上げの決定を11月まで先延ばし - 12月の選挙を睨んだ方策か?

優先課題である2017年の消費税増税(2017年4月に現在の8%から10%に引き上げる予定)に関しては、現段階では早々に安倍首相が先送りを決定する可能性は低いとみている。むしろ、現実的な政策路線を継続し、新たに編成する補正予算に対する経済の反応を見極める道を選ぶだろう。

 

いずれにしても、首相は増税を早々と決定せずに消費税を選挙の切り札のひとつとして使うと思われる。たとえば、秋までに経済状況が大きく好転しなければ、来年に予定されている消費税増税を撤回し、これを選挙に勝つための手段として利用するとみられる。直近の世論調査によると、有権者の60%以上は消費税増税に反対している。

 

7-9月期GDP成長率がマイナスに陥れば、このシナリオの現実性は高くなる。データが発表されるのは11月半ばで、来年度予算の交渉が大詰めになる時期と重なる。したがって、12月に衆院選が実施される可能性が現実味をおびる。

 

もうひとつのシナリオは、消費税率引き上げの先送りを公約し、7月に「衆参ダブル選挙」(参議院は任期が決まっているが、国民の意思をより強く反映する衆議院は首相の権限で解散できる)を実施して、勝利を得るという筋書きである。しかし、安倍首相は7月に衆議院を解散してダブル選挙に打って出る可能性をはっきりと否定している。

 

パワーポリティクスの見地からは理にかなった判断と言えよう。できるかぎり増税を先送りすることは、首相にとって有利に働く。結局のところ、与党議員を牛耳るうえで選挙は最も効果的な手段なのである。

 


この記事に関連する重要なリスク

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