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中国
中国の非国有企業における最近の傾向をみる
2018年07月06日
ブラッドリー・クローム, リサーチ部門アソシエイト・ディレクター
マット・ワグナー, リサーチ・アナリスト


中国への投資は、同国のいわゆる「国家資本主義」が懸念要因となり、長きにわたり悩ましい状況が続いている。最も大まかな定義において、国家資本主義とは、強さを備えた安定的な経済成長を促進する強力な国家の要素と、資本主義制度を結合した状態を指している。強力な、そして安定的な経済成長という点において、中国共産党は高得点に値すると多くが論じるであろう。だが長期投資家の観点では、成績表の得点はやや曖昧さが増す。

 

国有企業を評価する:キャッシュフローはマイナスでリターンも低め

 

政府は国有企業1を通じて民間部門への拠点を構築したため、投資家による中国への投資の現実は、政府とともに中国企業に出資することを余儀なくされる状況を意味する。多くの例で、株主のリターンは必ずしも最優先課題とはならない場合が見受けられる。その結果、市場の民間企業と対比した場合、債務が過剰に積み上がっていたり、冴えないリターンに甘んじる企業が存在することになる。以下に示したように、この現状は、これらの企業がプラスのフリーキャッシュフローを創出する能力に対し、重大な影響を及ぼしている。

 

国有企業と非国有企業との対比:キャッシュフローがマイナスな企業の比率

SOE vs ExSOE

 

同様に、国有企業で構成されるセグメントは、過去10年間にわたり非国有企業のセグメントを大幅にアンダーパフォームしてきた。インデックスに占めるウェイトは25%に過ぎないものの、非国有企業のインデックス・リターンの平均的な寄与は、この期間において80%超を記録してきた。その理由は、非国有企業が国有企業を1,000ベーシス・ポイント(bp)以上もアウトパフォームしたからである。

 

MSCIチャイナのリターン:非国有企業が国有企業をアウトパフォーム

MSCI china Returns 

 

利益成長の格差

 

パフォーマンス格差に加え、国有企業と非国有企業 のリターンのけん引役には劇的な差異が存在する。そのけん引役とは、収益の伸びに対する成長期待を受けたPER(株価収益率)の上昇である。歴史的に70%以上を国有企業が占めるMSCIチャイナ・インデックスの収益の伸びを累積した値は、過去34年にわたりマイナス圏で推移しているが、その一方でウィズダムツリー・チャイナ・エックスステートオウンド・エンタープライズ・インデックス(非国有企業を対象とした指数)はかなりのプラスとなっており、ここ数四半期ではプラス幅が加速的に拡大している。民間の投資家がリターンを求める投資形式と同様に中国政府が投資を行っていない点を考慮すると、収益で生じる差異には特に意外感はない。実際に、利益を生んでいないという要因こそが、中国政府が不採算企業に投資する理由である場合が多々あり、政府は企業の安定化を図る目的で資本を投じている。マクロ経済的観点からは、この動きによって政府が「軟着陸」を可能にし、景気サイクルの変動を緩やかなものにする政策と合致する。ただし、投資家の観点からは、政府と並んで投資することは、過去の事例を参考にした場合、利益をもたらしていない。

 

設定来の収益の伸びの累積値

CHXSOE Cumulative Earnings Growth since Inception

 

国有企業は、国有銀行から低金利での資金調達が可能であり、 中国経済全般に一定の脆弱性をもたらす、国有企業内にリスクが集中するシステムを創造することになる。過去数年間に実施された改革に伴い、債務削減において企業は大きな進捗を遂げ、これを達成した大半が国有企業であった2。このような改革は、システマテック・リスクを低減することにより、中国の投資家に対し幅広く魅力的な投資機会を創出している。我々は国有企業の長期的な改革を楽観視しているが、現在のシステムが示す現実を踏まえると、投資家に対しては中国の幅広いエクスポージャーの補足あるいは代替として利用可能な、国有企業を除外した投資アプローチの検討を助言している。その理由は以下の三点に要約される。

  • セクターのシフト:成長が最も急速で革新的なテンセント、アリババ、JD.com3といった企業が属する情報技術や一般消費財・サービスセクターとは対照的に、国有企業はエネルギー、金融、電気通信サービスセクターに集中している。
  • 収益性とバリュエーション:ROE(株主資本利益率)のような収益性の指標から測定した場合、国有企業は過去10年間、非国有企業と同程度に株主を報いてはいない。非国有企業は、優れた成長力や利益性を備えているにもかかわらず、より成熟し、収益性で見劣りする国有企業と同程度のバリュエーション水準にとどまっている。セクターごとのROEを示した以下の図からは、国有企業と非国有企業との異なるセクターにおける大幅なリターンの差異が明らかになっており、最大では情報技術セクターにおいて国有企業が16%も劣後している。
  • マイナスのフリーキャッシュフロー:改革と債務の解消は現在進行しているが、キャッシュフローがマイナスとなるリスクに加え、株主と政府の利害の不均衡も根強く存在し、投資家が享受すべきリターンのプレミアムをもたらさないリスクも存在する。

 

国有企業と非国有企業のROEとセクター・ウェイト

ROE for Ex-SOE and SOE

結論

我々の見解では、中国のような新興国に幅広く投資する際に、投資家はこの暗黙の賭けを継続的に再評価すべきである。政府と並んで投資を行うことは、市場が悪化したシナリオにおいてダウンサイド・リスクの限定が可能になる一方、全体的なバランスで見た場合、我々は政府の保有が市場のサイクルを通して確実な利益をもたらすメリットよりも、より大きな障害となると引き続き考えている。中国の国家資本に対するエクスポージャーの限定を求める投資家に対し、ウィズダムツリーは、政府の保有株比率が20%未満の中国企業への投資機会を提供するウィズダムツリー中国株ニューエコノミーファンド(CXSE)を運用している。

 

2018年6月25日 記

 

 

 

 

 

1State-owned enterprises: State-owned enterprises are defined as government ownership greater than 20% of outstanding shares of companies. 

2Source: Edward White, “China SOE leverage to decline further in 2018: Moody’s,” FT.com, 1/7/18.
3Click for current holdings of the WisdomTree China ex-State-Owned Enterprises Index and the WisdomTree China ex-State-Owned Enterprises Fund

 

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