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ゴールデンウィーク後の日本の見通し - 成果が問題
2017年04月24日
イェスパー・コール, ウィズダムツリー・ジャパン CEO


日本のリスク資産(株式と不動産)は引き続き、数年にわたる構造的な強気相場に向かう軌道にあるとみている。2017年は売上高の伸びの拡大と円安に支えられ収益モメンタムが好転し、25%~30%の増益を達成する可能性がある(2016年は約8%の減益)。TOPIXの実績PERと予想PERはいずれも10年平均と比較して割安で、バリュエーションは相対的に魅力的な水準にあるため、収益見通しの改善が日本株のパフォーマンスを押し上げると予想される。一方、日銀は当面、10年物国債利回りを事実上ゼロ%に抑制する措置を継続するとみられるため、政策主導による市場への影響はさほど大きくないであろう。

企業決算に注目

日米の二国間経済・貿易・投資に関する対話は順調なスタートを切り(先週の第1回目会談は成功裡に終わり、双方が前向きな取り組みを確認)、想定外の調整局面にある日本市場を押し上げる次なる重要なカギは間もなく始まる通期決算シーズンであろう。決算シーズンはゴールデンウィークと重なるため、数週間のうちに日本株のパフォーマンスは好転すると予想される。

 

具体的には、4月末から5月初旬にかけて業績の上方修正が相次いで発表されと予想している。企業とアナリストが前提とする平均為替レートは依然として1ドル=105円前後、売上成長率は2%弱と極めて保守的な水準だからである。円安が10円進むごとに、上場企業の利益が約8%増加する点に留意したい。第1四半期(1~3月期)の実質実効為替レートは1ドル=約113円であったため、増益率は企業コンセンサスの8%をはるかに上回る15%前後となる可能性がある。

 

当然ながら収益予想が重要となってくる。2017年度(2017年4月1日~2018年3月31日)も企業は非常に保守的で1ドル=108~110円程度、売上成長率2%前後を前提としているようだ。当社モデルは、この前提に基づくと2017新会計年度(4/1/2017 – 3/31/2018)は約17.1%の増益となることを示している。しかし、世界経済の成長率とほぼ連動する売上高の伸びが仮に3%上昇すれば、1ドル=110円であっても30.5%の増益となる。グローバル成長率とインフレ率のモメンタムが加速している現状からみて、2017年度の日本企業の収益モメンタムは上振れする可能性があると考えられる。

下表は、2017年度のドル円為替レートと売上高の伸び率の想定シナリオ別のTOPIX採用企業の増益率、また異なる想定PERに基づく「フェアバリュー」を示したものだが、これを見ると、2017年度は25%~30%の増益が期待できそうなことがわかる。

 

図表1: 為替レートと売上高の伸び率が示す日本株の「フェアバリュー」

  

 

国内事情—安定性プレミアム

予想される企業収益の循環的上昇に加え、内需と名目GDPの緩やかながら着実な拡大、そして安定的だが景気を後押しする金融・財政政策という2つの要因が日本のリスク資産を構造的にサポートすると考えられる。

前者は構造的な労働市場の逼迫に因るものである。労働力不足により小幅とはいえ賃金は上昇基調にあり、さらに重要なことに新規雇用の質が急速に改善している。正規労働者数は急増し、過去18カ月間に100万人の増加となった (ほぼ20年振りの純増)。日本では「新たなミドルクラス」が台頭しつつあり、構造的な労働市場の見通しはグローバルな景気循環に関係なく独自の国内需要の成長サイクルを生み出す可能性があると引き続き考えている。

政策面において、日本は、欧米諸国と比較して「安定の拠り所」となるべく努力している。特に、補正予算の成立により2017年度は財政政策が総需要をわずかながら押し上げる見通しである。また、金融当局は国債利回りを事実上ゼロ%に抑制する措置を維持する方針である。今後6~12カ月にわたり、日銀とFRBの政策のデカップリングが世界経済と資産配分にとってひとつの重要なカギとなろう。無論、国内機関投資家は金利差に注目して外国証券への配分を引き上げると予想される。

リスクシナリオ

経済政策面では2つの重大なリスクがあるとみている。第一に、予想以上に早く(すなわち、インフレ率が目標の2%に近づく前に)日銀がFRBの利上げサイクルに追従する可能性である。しかし、インフレ率が2%を超えるまで現行政策を維持するという日銀の意志は堅く、この可能性は低いだろう(2016年9月の金融政策決定会合の議事録を参照)。第二に、人件費高騰による収益性の縮小だが、これは構造的に深刻な問題である。プラス材料として労働市場改革はこの問題に焦点を当てており、またそれと同時に、企業が迅速に対応に当たっており、例えば、国内での合併・統合の波が進展することで、コストプッシュ・インフレに対する懸念は緩和しつつある。

一方、地政学的リスクがボラティリティを押し上げる重大な要因となりつつあり、北朝鮮政府の動きが予測不可能であるため、国内外の投資家の懸念は高まっている。


この記事に関連する重要なリスク

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