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日本の2017年の見通し-堅調な展開へ
2017年01月04日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


日本のリスク資産(株式と不動産)は引き続き、数年にわたる構造的な強気相場に向かう軌道にある。新年の2017年には、景気循環全般の上昇、特に企業収益の増加に支えられた力強いパフォーマンスが予想される。TOPIXのPERが現在、長期平均とウォール街における値のいずれと比較しても割安であるなど、魅力的なバリュエーション水準にある日本株は、この出発点から20%もの上昇を遂げる可能性があり、TOPIXは10年前の2007年以来の1,800ポイント水準に回復することもあり得ると当社はみている。

 

具体的なプラス要因としては、次の5点が挙げられる。

 

・増益によるポジティブサプライズを期待:増収と円安による効果

日本株は、景気に極めて敏感な資産クラスであり、国内外の景気循環に大きく左右される。2017年は、国内外で景気が好転しそうである。それに円安・ドル高の効果も相まって、企業の業績上方修正が相次ぐものと予想される。コンセンサス予想は保守的に、2017年は10%の増益と見込んでいるのに対し、当社は25%の増益を予想している。当社の前提とする平均為替レートは1ドル=115円であるが、コンセンサス予想は本稿執筆時点で1ドル=103円と想定している模様である。実際、円安が10円進むごとに、上場企業の利益は約8%増加する。

 

業績予想修正による上昇モメンタムが特に強まるのは、タイミング的には企業の通期決算発表シーズンである4月末から5月初旬を前にした時期であろう。よって、年初の数カ月間は市場の上昇モメンタムが加速する可能性が高い。

 

・国内投資家によるポートフォリオのリバランス:民間機関および個人投資家が債券から株式にシフト

2年前、日本の公的年金基金である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が資産配分を変更し、国内株の保有比率を約14%から約24%に引き上げた。2017年には、民間機関投資家と個人投資家がGPIFに追随すると当社は予想する。これらの投資家が2016年には追随しなかった理由は、世界に広がる不透明感と国内政策の混乱である。日銀が2016年1月に導入したマイナス金利政策は、日本のリスク資産全般に不利に働き、特に金融銘柄の下げが目立った。日銀は、2016年9月に対抗策として枠組みを変更した。日銀による「国債利回りのゼロ%程度への誘導」方針により、現在、投資家の間では、国内資産の中で株式への選好が強まっている。また、日銀の新たな政策に伴い、金融セクターの利ざや改善が期待される。これは金融セクターにとって好材料であり、金融セクターのリスク選好能力・意欲の向上につながるだろう。

タイミング的には、主な機関投資家の新年度(日本の年度は4月1日に始まる)の資産配分は3月半ば頃に設定されることが多い。個人投資家については、基本給と夏のボーナスの水準がリスク選好度の重要な決定要因となる。前者は3月半ば、後者は6月頃に決まる。

 

・企業の資本スチュワードシップへの取り組み:配当と自社株買いがともに加速

企業収益の循環的な増加基調に加えて、株主利回りをはじめとする資本スチュワードシップ全般の構造的な改善が、日本株の大きなサポート材料となりそうだ。昨年2016年にはいわゆる収益不況(earnings recession)にもかかわらず、配当と自社株買いがともに加速するという史上初の状況となった。今年2017年には収益の伸びが加速する中で、配当と自社株買いのいずれも一段の加速が予想される。

 

この点に関しては、株主総会が具体的な契機になるだろう。株主総会は通常、6月か7月に開催される。

 

・ポリシーミックスの維持:フィスカル・ドミナンス(財政政策が金融政策を支配する状況)と日銀のイールドカーブ・コントロールによる事実上のゼロ金利政策

安倍首相が、今後3年間で28兆円を支出するという大規模な財政刺激策の実施を表明した。2017年から東京オリンピックが開催される2020年まで毎年、GDPの約0.75%~1%の財政による押し上げを図るというものである。一方日銀は、日本国債の利回りを事実上ゼロ%に抑制するよう政策目標を変更した。新年2017年の注目テーマとして、この金利抑制策の終了時期について市場の憶測が飛び交うことになるだろう。

 

当社は、黒田日銀総裁が設定した目標2%に日本のインフレ率が明確に向かい始めるまで、現状が維持されるとみている。そして、それは早くとも夏の終わりか秋の初めとなるだろう。それまでは、日本のフィスカル・ドミナンスとゼロ金利維持による財政赤字の増大と日米金利差拡大を背景に、円安基調が継続する見通しである。

 

・世界の景気循環全般の上昇、特に中国と米国の設備投資の増加

日本の主要貿易相手国である米国と中国のポリシーミックスが積極財政に転じる可能性が高く、2016年の世界の逆風が追い風に変わることになりそうだ。事実上の「新G3」である米国、日本、中国の政策協調に加えて、円相場の下落が日本の資本財メーカーの競争力と収益性を押し上げている。

 

タイミング的には、当面注目されるのは米国の新たな財政政策の具体的な内容と時期であり、その後は2017年秋に開催される中国共産党全国代表大会も重要な材料となるだろう。

 

セクター配分

全般的には優良輸出銘柄と有配銘柄に投資妙味があると考えるが、セクター別では、金融セクターと資本財セクターによるアルファ創出を期待する。また、日本の小型株への構造的なオーバーウェイトを維持する。

 

リスク要因

日本に対する当社のポジティブな見通しには2つのファンダメンタルなリスクがあるとみている。国内では、労働市場の逼迫化によるコストプッシュ・インフレ(原材料費や賃金上昇などといった供給側の原因で引き起こされるインフレ)が起き、当社の予想よりも早く利益率が縮小する可能性がある。また海外では、中国の通貨切り下げにより、日本の輸出競争力が低下するだけではなく、グローバルな資本フローが次の「リスクオフ」局面に入る可能性がある。

 

 


この記事に関連する重要なリスク

海外投資には、通貨変動、政治あるいは経済情勢の不確実性に因る損失リスクなどの特殊なリスク要因があります。通貨に対する投資には、信用リスクおよび金利変動などのさらなる特殊要因もあります。


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