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2017年10大サプライズ予想
2016年12月07日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


エコノミストやストラテジストが、来たるべき2017年の予想と基本シナリオを発表する時期が来た。定量予測は確率モデル、定性シナリオは経験と常識に基づくものである。いずれの手法にしても、真の異常値や本当のサプライズに関する議論が入り込む余地はほとんどない。

 

「2017年10大サプライズ予想」はこの点に対処することを目的としており、日本市場投資戦略にとって筆者が個人的に懸念するシナリオである。この10大サプライズはコンセンサス予想からは大幅に乖離した出来事とシナリオであり、1あるいは2標準偏差以上乖離している。10大サプライズの目的は読者の思考を喚起することである。「ありえない」と見られても、長期的な方向性は市場コンセンサスの転換点になると思われる。どうぞ楽しんでお読み下さい。2017年の成功と幸運を祈っております。

    1. トランプ政権下で偉大なる米国が復活 -- 2017年の米GDP成長率は4.5%

日本にとって米国は依然として最も重要な貿易相手国であり、TOPIX採用企業の利益の25% 近くを対米国輸出が生み出している。米国の成長率急伸、法人税減税、ドル高は2017年の日本企業の利益を押し上げる「トリプル効果」をもたらすと考えられる。

    2. 中国共産党が現実路線に舵を切り、公式のGDP成長率目標を5.5%に引き下げ

2017年秋、中国共産党第19回全国代表大会が開催される。焦点は新執行部の選出だが、トップダウンで決定される中国経済のガイドラインと目標もグローバル経済・金融にとって重要な意味を持つ。公式な成長目標が6%以下(たとえば5.5%)に引き下げられれば、まさにサプライズである。これは、a) 多くの民間エコノミストが予測する中国の持続可能な成長率にほぼ沿った水準である、b) 人民元切り下げのリスクが低減される(公式な成長目標が高いほど、政策担当者は目標達成のためのツールとして通貨切り下げを用いる傾向がある)点でグローバル市場にとってポジティブと考える。2017年に人民元切り下げリスクが低下すれば、世界のリスク資産、特に日本株にとっては追い風となろう。

    3. 安倍政権と日銀が「Jコイン」(グローバル基準の設定に向けたブロックチェーンベースの仮想通貨)を導入

ブロックチェーン・テクノロジーを基盤とする仮想通貨・バンキングは今後の金融業、政府、中央銀行にとって不可欠な部分となるとの一般的な見方とは裏腹に、政府や中央銀行は、公式な仮想通貨の基準に出資したり、推進したりすることから距離を置いている。日本は、日銀が保証する「Jコイン」(アジアおよびグローバル基準を設定するためのブロックチェーンベースの仮想通貨)を導入すれば、この分野をリードする可能性を秘めている。これはまさにサプライズだが、ありえない話ではない。真の世界リーダーを目指して新たに芽生えた国益意識、および東京を世界的な金融センターに発展させたい東京都知事の意向が相まって大きな可能性が生まれてきているようだ。少なくとも、公式な政府保証の「Jコイン」の創設により日本の銀行・金融機関は紛れもないリーダーとしての地位を獲得するだろう。

    4. ドイツのメルケル首相が2017年の連邦議会選挙で敗北するも、ノーベル平和賞を受賞する

2005年11月から政権の座にあるメルケル首相は、様々な面で卓越した指導力を発揮して大きな成功を収めている。従って、来年の連邦議会選挙で敗北すれば驚きであり、大きな影響が及ぶのはドイツだけに限られないだろう。しかしながら、新生ドイツ、ひいては新生欧州の移民政策に関する彼女のたゆみない努力に対してノーベル平和賞が授与されれば、まさにサプライズと捉えられるであろうと考える。

    5. 黒田日銀総裁:2017年末には失業率が2%まで低下し、2%の物価目標を達成

2013年の就任時、黒田総裁は2%の物価上昇率という新たな政策目標を打ち出した。2016年末の消費者物価指数上昇率はかろうじて0.5%程度となり、2%目標が発表された当時の-0.5%からは改善したものの、依然として目標達成への道のりは遠い。この間、失業率は4.3%から3%へと大幅に低下した。今後さらに2%まで低下する可能性はあり、そうなれば黒田総裁と金融市場が成功を誇示する大きな理由となろう。結局のところ、失業率の低下と物価安定は、いずれ金融引締めに通じるインフレ・モメンタムの加速よりはるかに望ましい均衡である。ここで考えられるサプライズは、2%の物価目標は達成できなかったとしても、世界で最も低い失業率を実現することで、黒田総裁が全般的に成功を収めるというものである。

    6. 日本が「使わなければ徴収」政策を導入し、企業に潤沢な内部留保の利用を義務付け

日本企業は潤沢な資産を保有している。企業部門の内部留保(預貯金および短期有価証券)の対GDP比は125%であり、GDPの規模からすると世界最高である。一方、米国の場合はわずか32%と推計される。さらに、ここ10年間にわたり日本企業の豊富な資金力はほぼGDPの水準で推移している。ゼロ金利下で保有されているGDPの125%に相当するキャッシュは明らかに遊休資産であり、この点は「チーム安倍」が認識していないものではない。積み上がった内部留保に課税するという独創的な政策はまさにサプライズとなろう。国益のために企業の内部留保を吐き出させる「使わなければ徴収」税制はアジアでは珍しくない。手元資金を人的資源、生産資本、あるいは株主資本に回すかは経営陣の裁量に任せられるべきであろう。しかし、世界最大の遊休資産を抱える日本企業にとっては、コーポレート・ガバナンスとインベスター・ステュワードシップの漸進的変化を過剰保有資産に対する課税という強圧的な介入により促進する必要が出てくるかもしれない。日本企業に手元現金を放出させる政策は、国内経済と株主還元(さらなる増配や自社株買い)を押し上げる歓迎材料と考えられる。

    7. 日本のブルマーケット:日本郵政株の第二次放出と東京メトロ株の売り出しを後押し

日本政府は国有資産の迅速な民営化を目指している。民営化の候補は多数あり、日本郵政株の第二次放出と東京メトロ株の売り出しが最も注目を集めると見られる。これまで、財務省は民営化対象企業の株式放出を年1社にとどめていたが、持続的なブルマーケットを背景に慎重な姿勢を軟化させるかもしれない。向こう12カ月で大型民営化プロジェクト2件を成功させることを目指せばまさにサプライズであり、日本株市場への信頼感の重要な転換点となろう。政府が民間資産市場の流動化を促進すればするほど、市場の透明性が向上し、効率的になるだろう。

    8. 囲碁:日本製の人工知能がグーグルの「アルファ碁」に囲碁の対局で勝つ

昨年、人工知能(AI)が世界最強の棋士の一人に勝利した。「アルファ碁」と呼ばれるそれは、グーグル傘下の英国企業が開発したものである。囲碁は中国が発祥の地で、日本は多くの名人を輩出している。さらに重要なのは、今でも日本のエリートの多くにとって囲碁が重要なゲームである点である。日本製の囲碁AIが誰もが認める世界トップになれば、日本への信頼感はかなり押し上げられるであろう、と考える。AIと機械学習システムにおける真のリーダーとして日本の評価は上がり、技術面で日本は出遅れている、と考えていた多くの人々にとってサプライズとなろう。

    9. 中国の銀行が欧州大手銀行株の過半数を取得

欧州金融危機の大詰めはECB(欧州中央銀行)の積極的な行動によって先延ばしされているようだが、2017年には銀行の資本不足とフランチャイズバリューの低下が再び明らかになってくるだろう。中国の民間銀行が著名な欧州銀の大株主になれば、まさにサプライズである。中国と欧州の銀行のパートナーシップにより信頼感と事業見通しが向上するだけでなく、こうした動きは金融グローバル化の終焉を予測する向きに一矢報いることになる、と考える。

     10. 米連銀による2017年中に5回の利上げにより、FFレートが2.5%に上昇するが、日銀はゼロ利回り政策を維持

最初のサプライズに関連した項目である。2017年に米GDP成長率が4.5%に向かって加速すれば、FRBは政策金利を現在予測されているよりも速く大幅に引き上げるであろう。個人的見解だが、平均GDP成長率が4.5%であれば、2.5%前後のFFレートも頷ける。一方、日銀が現在の10年債利回りの上限をゼロとする「ゼロ上限」政策を維持すれば、まさにサプライズである。日米金融政策の乖離(FRBの予想以上の利上げ、日銀のゼロ利回り政策の長期化)は2017年のグローバルな資本フローを決定づけることになるだろう。強いドルが歓迎され、そして強い円にはサヨナラ。

 

楽しい休暇をお迎え下さい。皆様の2017年におけるご繁栄とご健康をお祈り申し上げます。

 


この記事に関連する重要なリスク

海外投資には、通貨変動、政治あるいは経済情勢の不確実性に因る損失リスクなどの特殊なリスク要因があります。通貨に対する投資には、信用リスクおよび金利変動などのさらなる特殊要因もあります。



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