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日本のGDPが急拡大:安堵する日銀と安倍首相への明確なメッセージ
2016年11月14日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


7-9月期のGDP伸び率は前期比+2.2%(年率)と、日本の経済成長はコンセンサスの倍以上の加速を記録したが、そこからは次の5つの基本的な流れが浮かび上がってくる:

 

日本株式会社(ジャパン・インク)は輸出勢のなかでも非常に高い競争力を維持している

輸出高は前期比+8.1%と急上昇しており、輸出だけで当四半期のGDP大幅上昇分の半分以上を叩き出している。このうちの一部は、単に前期の-6%という結果からの回復だったとはいえ、その回復幅は円の高止まりにも関わらず「メイド・イン・ジャパン」の競争力が極めて高いことを改めて裏付ける証左となった。筆者は個人的に、今後は、中国の公共インフラ支出と民間設備投資需要の全容が明らかになるにつれて、それらが日本の輸出モメンタムを更に押し上げると見ている。

 

日銀の金融政策により住宅と不動産投資が押し上げられている

民間住宅投資は+9.6%の急上昇を記録した。4-6月期に+21.7%という大幅上昇を記録したことを鑑みると、この数値はひときわ素晴らしい。住宅分野におけるモメンタム継続は、日銀による積極的な金融政策に対する明確な好反応だ。住宅ローン利率は、昨年末時点では1.3%だったが、日銀がマイナス金利を適用した後、2月/3月には0.6%にまで下落している。黒田総裁が推し進める金融政策から第一に恩恵を受けるのは、間違いなく、日本の家計である

 

企業投資は引き続き低調である

住宅への好影響とは対照的に、低金利は事実上、現在までのところ企業投資にはなんらプラスの影響を与えていない。当四半期の民間設備投資は、前期比+0.1%と横ばいだった。これとは逆に、他のデータによると海外からの直接投資が確実に上昇している。政府に対するメッセージは明らかだ。企業トップに日本での生産資本投下を決心させるには、より積極的な構造面での政策が必要である。

 

労働者の賃金が力強い増加基調にある日本は労働者天国である

実質賃金は3%、そしてより重要なことに、名目賃金が2.5%上昇した。名目賃金は6四半期連続で上昇しており、これは日本がデフレを脱した有力な証左ではないかと筆者は個人的に考えている。日本は現在、給与所得の継続上昇と雇用安定が過去最高水準の住宅取得能力によって増幅されて「新中間層」が台頭するという好循環に入っていると、筆者は見ている。このファンダメンタルズの転換がいかにドラマチックかを念頭に置く必要がある。絶対数値としては、名目賃金は現在、14年半前の最高水準(前回この水準に達したのは2002年1-3月期)に戻りつつある。今後は、労働市場のタイト化により、ポジティブなモメンタムが継続するだろう。

 

所得増にもかかわらず消費は低迷し、貯蓄率が急上昇している

賃金と所得のモメンタムがポジティブであるにも関わらず、それが消費拡大につながっていないのは悪材料だ。当四半期の消費支出は、前期比+0.2%とほぼ横ばいだった。より広い視野で眺めれば、2015年初頭以来、労働賃金は10.2兆円増加したが、消費支出は基本的に横ばいである(2015年1-3月期が308.12兆円だったのに対し、2016年7-9月期は308.02兆円)。日本の家計が消費ではなく貯蓄に向かっているのは明らかだ。貯蓄増加の理由のひとつは、家計セクターにおける負債増によるものかもしれない。ワタナベ夫妻が新たな住宅ローン返済のために貯蓄を引き上げ始めたら、必然的にヘルスケアと年金システムに不透明感が増す。筆者の個人的見解だが、今後チーム安倍は、予想外の事態に備えた蓄えは必要ないことを日本の人々に納得させるため、より一貫性と信頼性がある年金及びヘルスケア・システムを確立する必要に迫られるだろう。

 

結局のところ、好調なGDPの数値は政府に対する明確なメッセージを発しているのだ。労働市場のタイト化と日銀の金融政策により家計は恩恵を受けているが、企業に日本での生産資本投下を決心させるためには、より確固とした構造改革が必要だということである。今後は、構造改革計画と予算に関する議論が主な注目点になるだろう。

 

労働者天国の日本―名目賃金推移(単位:10億円)

 


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