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日本のトランプ次期政権への準備は万全
2016年11月09日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


当初、日本市場はリスクオフ・ショックに見舞われたものの、筆者は日本はトランプ次期政権に対応する準備を十分に整えていると考えている。日銀が借入金利をゼロに引き下げたことで、大規模な財政資金はすでに確保されているゆえ、チーム安倍は迅速かつ積極的な対策によりサプライズをもたらすだろう、というのが筆者の見解である。

 

さらに、ひとたび混乱が収まりワシントンでトップダウン式経済政策が再開すれば、日本企業にとっては大きな追い風になる可能性がある。日本企業は利益の約14%を北米の現地生産から生み出しているが、トランプ次期大統領が国内企業の法人税を大幅に引き下げると表明していることから、来年は日本企業の利益を少なくとも数ポイント押し上げる可能性がある。

 

準備して....

約4年前に誕生した安倍政権は、十分に調整されており衆議院では2/3の圧倒的な議席数を確保し、ほぼ間違いなく世界で最も安定かつ協調性の高い政権である。加えて、欧州とは異なり、金融規制当局の対象となっているのは安定的で資本が豊かな銀行システムである。

 

....そして行動

GDPの約5.5%に相当する、事業規模28兆円の大型経済対策は8月初めに閣議決定されており、チーム安倍の実行に対する意欲と能力は整っている。端的に言うと、「資金」は前もって準備されており、その背景に「トランプリスク」があったことは明らかである。そして、トランプ政権誕生によるデフレリスクが万が一にでも高まれば、即座に追加財政刺激策が実施され日銀はこれを支持するであろう。

 

円相場の行方

トランプ氏当選による円高や日経平均の暴落といった「リスクオフ」反応は、こうした出来事のあった際の市場の典型的な反応となっている。これが本当の市場崩壊になるか否かは政策面でトランプ氏がリーダーシップを発揮できるかによる。筆者が考えるように、向こう4~6週間でトランプ氏が政策チームに信頼のおける専門家を結集させれば、長期的な下落リスクは低減するであろう。対立を煽る指導者がディール・メイカーで現実的な資本主義者に変わることが早ければ早いほど、市場に取ってはより良いであろう。

為替のカギとなるのは米国の貿易政策である。米国が輸入品に課税する明らかな保護貿易主義に舵を切れば、構造的なドル安を招く可能性がある。筆者は、トランプ次期大統領が現実主義者でディール・メイカーになることが望ましいと考える。売上高のほぼ半分を海外に依存している米国企業は、政府主導の貿易戦争を防ぐために粘り強く抵抗すると思われる。

 

注意したいのは、TPPを先に進めないことが貿易戦争の始まりではない点である。これは単に現状を維持しているだけで、利益もないが損失を生み出すものでもない。上述したように、関税を課すか否かが次期政権にとってリトマス試験紙である。

 

一方、トランプ氏の選挙公約である企業のタックス・インバージョン(節税のための本社の海外移転)の廃止、ならびに海外利益の本国送還の奨励はドル需要を若干押し上げると思われる。

 

日本国内の課題

いずれにしても、日本はTPP加盟を国会で可決する見通しである。貿易自由化見込みの有無にかかわらず、農家や地域経済への支援拡大がチーム安倍にとって国内政策の重要な一環だからだ。

 

一方、トランプ政権の誕生により、安倍首相の個人的野心でもある日本の自己依存と独立性を高めるための憲法改正の動きは一層勢いを増す可能性がある。12月に予定されている安倍首相-プーチン大統領による日露首脳会談が成功裏に終わる可能性も同じ根拠による。

 

来年、チーム安倍は中国とのより建設的な関係構築に向けた新たな道筋を見出す必要がある。しかしながら、まずはトランプ次期大統領の中国政策を見極めることになろう。筆者の個人的見解だが、トランプ氏が中国に対する強硬路線を強めるほど、日中関係改善の可能性はより高くなるとみている。

 

 


この記事に関連する重要なリスク

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