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日銀の政策は機能している – クレジット・サイクルは上昇、長期ゼロ金利政策は継続
2016年10月28日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


日銀政策のインパクトは大方が評価しているよりもかなりの成果を収めていると考える。「アベノミクス」がスタートしてから間もなく民間セクターのクレジット成長サイクルが本格化したからである。端的に言うと、日銀はもはや「無為な政策」を実施しているわけではない。ほぼ20年振りに日本の銀行は信用を供給し、民間セクターは実際にリレバレッジに動いている。従って、「信用の量」から「信用の価格」への目標シフトは非常に歓迎すべきものである。チーム安倍の改革がより強力な設備投資サイクルをもたらすまで、日銀は「長期ゼロ金利」政策を続けるとみられる。

 

民間セクターの信用需要は増加・持続可能

民間セクターの持続可能なリレバレッジ・サイクルの可能性が高まっていることは、日本が追加緩和を実施しないだろうと我々が考える大きな理由である。また、最近になって日銀が「信用の量」から「信用の価格」へと目標をシフト(10年国債の利回りの天井をゼロに)したことは、日本の金融政策のトランジション・メカニズムが再び機能しはじめ、低金利が民間セクターの借入額を押し上げるという経験則と一致している。

 

金利と民間セクターのクレジットに関するデータがこの点を物語っている。以下のチャートは、民間セクターの信用残高(円建て)と新規貸出しの平均金利の推移を示したものである。1995~2005年の日本は極端なデレバレッジ・サイクルの最中にあった。民間セクターのクレジットは対GDP比20%超落ち込み、信用コストの持続的な低下にも無反応だった。つかの間の緩やかなリレバレッジの期間は世界金融危機で潰され、日本は「信用の価格に信用の量が適応しない」流動性の罠に陥った。

 

重要なのは、日本の「バランスシート・リセッション」が2013年初めに終止符を打ったことである。それ以降、民間セクターの借入は着実に拡大し、2013年初頭から2016年9月までの間に対GDP比で約15%以上に増加した。最も注目すべきは、信用の価格と量の関係が「正常」に戻り、低金利が民間企業の借入需要を押し上げている点である。

 

日本はようやく「正常な」クレジット・サイクルへ

日銀の政策にとって、この「正常化した」民間セクターの信用機能(銀行はマージンの低下にもかからず、資金を提供する体力を付け、民間セクター側はコスト低下に伴って資金需要が拡大している点)は極めて重要である、と考える。ようするに、需給ファクターが経済を「押し上げている」点で金融システムはうまく機能しているのである。

 

これらの中でも極めて重要な帰結は、レバレッジ解消周期の間、民間銀行が資産の「最後の買い手」となり得るべく、自身のバランスシートの「量的」拡大に重点的に取り組んでいた日銀の、中央銀行としての役割が「正常化」し始める点である。今、民間セクターのリレバレッジ・サイクルが始まり(約3年になる)、「量的」目標はすでに必要なくなった。

 

信用の価格の目標設定が再び量を左右する要因として浮上してきているのだ。

 

確かに、日銀は「正常化」について極めて慎重なアプローチを導入した。結局のところ、新規の貸出金利のベンチマークである10年国債の目標「価格」は名目利回りゼロで、新規ローンの実効平均レートは72-75bps前後である。言い換えれば、デッド・ファイナンスでは名目コストのハードルレートは極めて低い。たとえば、東京の不動産のキャップレートは依然として3%前後と、ポジティブ・キャリーは200bps以上である。 日本株の配当利回りは2%と(2016年10月28日時点のTOPIX)、100bps以上のポジティブ・スプレッドである。

 

つまり、日銀は安全策を取って緩やかな歩みを続けている。ただし、「信用の量」から「信用の価格」への「体制移行」は非常に理にかなっており、大いに歓迎すべきと考える。

 

「長期ゼロ金利」– クレジット・サイクルは加速するか?

今後、日銀は静かな動きに終始すると予想している。米国の景気減速、および/あるいはドル相場の崩壊、人民元の切り下げなどの外的ショックがないかぎり、次なるステップに踏み出すのは金利がもはや低下しないにもかかわらず、民間銀行の貸出の伸びが確認される局面においてであろう。第1ステップは、金利低下が実際に民間セクターのクレジット成長サイクルを維持していると再確認することであった。第2ステップは金利サイクルが底を打ったにもかかわらず、信用の伸びが続いていることを示すことであろう。このハードルを越えるには少なくとも9~12カ月かかるであろう。日銀は「長期ゼロ金利」政策を継続すると予想している。

 

安倍首相の構造改革が加速度を増した場合にはこの「ゼロ金利」サイクルが全面に出て、より強力な設備投資上昇サイクルの引き金になると思われる。来年度予算の編成を控え、向こう数カ月で予算内容と構造改革の項目が再び注目を集め、詳細が明らかになるだろう。

 

民間セクターの信用残高と新規貸出の金利

 

 

出所:日本銀行

 

 


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