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Brexitと日本
2016年06月24日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


日本は、英国の欧州連合(EU)離脱、いわゆる「ブレグジット」によるリスクオフの津波で大打撃を受けた。離脱という結果が発表された時点で開いていた主要先進国市場は日本だけだったことから、打撃が増幅された格好になった。不透明感がピークに達していた時に売買が行われていた東京市場が、衝撃の第一波を吸収するはめになった。私は、日本市場の「ディスカウント」状態は来週には解消され、相対的なパフォーマンスは正常化に向かうと予想している。
日本企業にとって、ロンドンといえば何といっても金融センターであり、商業や鉱工業の拠点ではない。日系の銀行や保険会社は、円以外での資金調達の25~35%をロンドン市場に依存している。これが危機に晒されるかもしれないという懸念は誤りだということが、今後数営業日で証明される必要がある。

 

カウンターパーティー・リスクの懸念

グローバル・マクロのボラティリティは必ずしもミクロ・イベントを強制的に引き起こすわけではないということを、私たちはこの目で確認する必要がある。欧州系銀行はマクロ市場のボラティリティによって発生する損失を吸収するに十分な体力を持つということを、明らかにしなければならない。ファンダメンタル的には、欧州系の銀行は更に、自らの信用力と新たに訪れる「英国抜き」の状況での将来の収益力を、はっきり示さなければならなくなるであろう。
個人的には、ベア・スターンズ破綻で見られたような負の連鎖は欧州では発生しないと明らかになるまで、リスクオフの流れが優勢になると思う。おそらく、カウンターパーティー・リスクの抑制が、大きな課題になるだろう。欧州系銀行のCDSのプライシングが、有効な先行指標となると見ている。


日本企業への影響は小さい
金融部門に衆目が集まる一方で、英国のEU離脱による日本の商業および鉱工業部門への影響は相対的に小さいと思われる。
基本的に、日本企業は成長戦略の軸として、欧州ではなくアジアおよび北米に焦点を当てている。この観点から、本日の東京市場急落は行き過ぎだと思われる。
特に、上場企業の収益に占める欧州および英国の割合は、やっと5%に届くかどうかという水準である。ちなみに、北米(米国、カナダ、メキシコ)は24%、中国は11%、そして中国を除くアジアは7%となっている(経済産業相と財務省のデータに基づく筆者の試算)。


アベノミクスへの影響
一方で、英国のEU離脱ショックが、日本の消費者信頼感、そして国内需要を減退させる可能性は十分にある。そうなった場合、安倍首相が補正予算出動による経済押し上げを実行する時期が早まるであろう。補正予算は既に5月後半に成立しており、支出項目についての詳細が9~10月に発表される予定である。今後数ヶ月で英国のEU離脱の影響で経済データが悪化した場合、大型補正予算が前倒しで組まれる可能性があると見ている。具体的には、5年間で8兆円ではなく、8年間で12兆円規模の追加的な財政支援が出動される可能性があると見ている。
一方で、安倍首相自身は、「アベノミクス」をより積極的に推進していく必要性の論拠として、外因的な英国離脱ショックを利用していくと思われる。また、個人的には、今回の英国離脱ショックは、日本を外因性のショックから守る必要があるなどとして国内需要拡大政策が新たな活力を得る、ポジティブな触媒になる可能性があると考えている。


英国離脱とトランプ
ローカルのおしゃべり階級は、英国離脱を「想像だにしないことがどこでも起こりうる」ことのポジティブな先行指標だと受け止めている。そして、この先行指標通りに、米国の有権者がトランプという徹底した保護貿易論者を大統領に選ぶ可能性が高まっている。それはさておき、市場にとってこのことは、英国離脱の国民投票で火が付いた米ドル安が、大統領選挙に向けて東京市場で一段と進む可能性が高まったことを意味している。


この記事に関連する重要なリスク

海外投資には、通貨変動、政治あるいは経済情勢の不確実性に因る損失リスクなどの特殊なリスク要因があります。通貨に対する投資には、信用リスクおよび金利変動などのさらなる特殊要因もあります。



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