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外国人の日本国債保有高が急増 - 構造的な円安基調
2016年05月27日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


日本は積極的な財政政策の導入を考慮しており、財政赤字を手当てする構図が根本的に変化している点を認識すべきである。3年前に「アベノミクス」が始まって以来、日本国債を買い越しているのは日銀と外国人投資家である。日銀による異例の「量的緩和」に関するコメントは数多く見られるが、「アベノミクス」下で海外資金に対する日本の依存度が上昇している点はさほど注目されていない。この3年間で日本国債の外国人保有比率は2倍以上となり、2015年末時点では日銀の保有高を除くと外国人投資家は日本国債の18.2%を保有している。従って、日本国債と円の脆弱さは高まっており、グローバルの資金フローの影響を受けやすくなっている。この状況では円は構造的に弱い通貨になりつつあるというのが我々の見方である。

 

日本の公的債務に関する事実は、日銀の資金循環統計に最もよく捕らえられている。直近の2015年末データによると、日銀の国債保有率は35.5%と5年前(2010年末)の10.4%から大幅に上昇している。特に、2013年4月に黒田総裁が就任して以来、日銀の買い取り額の比率は15%から35.5%に急上昇している。

 

こうした状況下、保険会社、年金基金、銀行などの民間金融機関は国債保有額を徐々に減らしている。国債残高に占める保有率は5年前の82.1%から2015年末には52.7%に下落した。すなわち、過去3年間で民間金融機関の国債保有額はGDPの30%以上に相当する約170兆円減少したことになる(図1参照)。

 

注目点 : 黒田日銀総裁は国債の「スワップ」を進めている。国債保有率を見ると民間金融機関が22.7%下落している一方、日銀は20.5%上昇している。すなわち、日銀は「最後の買い手」となり、日本の国債市場は「国有化」されているのである。

 

ギャップを懸念 – 海外の資金が必要

 

 しかし、国債購入額が民間金融機関から日銀に大幅に移動するだけでは独自に資金需要を吸収・維持するためには 不十分であり、海外資金に頼らざるを得ない。黒田総裁の就任以降、日本国債の外国人保有比率は9.6%から11.8%に上昇している。中心となっているのは諸外国の中央銀行・政府による外貨準備目的の資金フローである。

 

日銀の国債保有額を除外すると、外国人保有額は18.2%に上昇

 

 11.8%という日本国債の外国人保有比率は日本の海外資金依存度の実態を正確には反映していないと考える。公的機関である国によって発行された国債を、公的機関である中央銀行が購入すれば、それは「セルフファンディング」であり民間セクターに頼る必要はない。そこで、日銀の国債保有額を除外してみると、2013年3月~2015年12月に外国人保有比率は11.3%から18.2%に上昇した計算になる。言い換えれば、日本の“流動性のある”国債のほぼ20%は外国人投資家が保有していることになる(図2参照)。

さらに重要なのは、フロー・ベースで見ると外国人投資家が日本国債の主要な民間の買い手になっている点である。

 

今のところ、日本国債市場の新しい流れは、結果としてまずまずの均衡状態にある。債券利回りが低下傾向にある一方、為替は1ドル=125円の円安水準まで行った後、108円までもどってくるというサイクルを示した(黒田日銀総裁の就任時には、ドル円相場は95円近辺であった点に注目されたい)。すなわち、現時点では市場混乱を示すサインは出ていないと考えられる。事実上、日銀による日本国債の”国有化”が順調に進んでいると考えられる。

 

構造的な円安

 

 とはいえ、財政赤字を補うために海外資金に頼る傾向が強まっている点は極めて懸念される。日本は国際的な資金フローの影響を受けやすくなっており、実際に外貨準備目的で日本国債の外国人保有比率が上昇しているとすれば、国際的な外貨準備のフローの反転は日本国債にとって問題になり得る。 貿易の流れ、すなわち国際収支が継続的に縮小すれば安心してはいられなくなる。

 

具体的に言うと、日本国債市場の新たな変化により構造的な円安が予想される。

 


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