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年度末に問われるパフォーマンス
2016年03月07日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


当社は、日本のリスク資産(株式と不動産)の価値は今後数年間にわたって上昇するとの見方を変えていない。その背景には2つの要因がある。まず、当社のみるところ、日本の民間部門は企業戦略の中心として資本効率/スチュアードシップを重視するようになってきている。次に、政治家はデフレ脱却のみならず、成長を促す内需環境を実現するために結束して努力を続けている。自社株買いが過去最高に達し、ここ数カ月にわたり前者に対する信頼性は高まっているが、政治面の動きは失望を誘っているようだ。ただし、状況は変化しつつあり、数週間後には積極的な成長戦略が注目を集めることになろう。

 

 具体的には、日銀が打ち出したマイナス金利政策を補完するために財政政策の出動が考えられる。5兆円規模(対GDP比は約1%)の補正予算が組まれる見通しで、従来型の公共事業投資ではなく国民に現金を支給するという直接的な手段が中心になると考えられる。すなわち、低所得年金受給者への給付金、子育て支援交付金、地方企業活性化のための補助金などである。この背景には、金融政策が内需を直接的に刺激するトランスミッション・チャネルの創造を目指す政治的な意図があると思われる。端的に言えば、日本で「ヘリコプターマネー」(国民への現金支給)が現実のものとなる可能性がある(少なくとも、低所得の労働者や年金生活者を対象とする「ドローンマネー」は実現化するだろう)。

 

 無論、これから細部を詰める必要があり、向こう数週間は政治家の間で延々と議論が繰り広げられるとみられるが、最終案は一億総活躍社会を目指す安倍首相の新たな成長戦力の一環として打ち出されるだろう。経済対策が最終的に決まる4月半ばまで、世論の反応を見るための観測気球や方針説明が金融市場のさまざまな憶測を招くと予想される。すでに、安倍首相は2017年4月の消費税増税の先送りについて含みのある発言をしている。

 

 市場にとって重要なのは政策の選択範囲が広い点で、今のところファンダメンタルズではなく投機的な動きを背景にリスクテイキングと流動性が高まる可能性がある。

 

3月31日時点のパフォーマンスが問題

 「チーム安倍」が追加経済対策を打ち出すとみられる理由のひとつは、パフォーマンスに対する圧力の増大である。アベノミクスが提唱するポートフォリオ変更(国内債券の比率を引き下げ、国内株式と外国証券を引き上げる)は現時点ではうまく機能していない。問題は2015年度末(2016年3月31日)時点のパフォーマンスだが、状況は芳しくない。2015年度に入ってから日本株は11.5%下落しており、2011年度以来初めて株価は下落して年度末を迎える可能性がある。また、2011年度以降で初の円高の年となるかもしれない。追い打ちをかけるように、リスク資産のマイナスのリターンに対して、「リスクフリー」の国債価格は上昇し、10年債の利回りは年度初めの40bpsから現在では- 3bpsに低下している。

 

 

出所:Jesper Koll, Bloomberg

 

 メッセージは非常にはっきりしている。すなわち、ポートフォリオのリバランスはアベノミクスの重要な政策のひとつであり、まず日銀、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、日本郵政がいずれもリスク資産の組入比率の大幅引き上げを提唱・実行し、資産運用会社や個人投資家がこれに追随することを期待している。こうした新たな「国家モデルポートフォリオ」の今年度末(2016年3月31日)のリターンがマイナスになれば、重大な負の影響は免れないだろう。いずれにしても、「チーム安倍」はポートフォリオのリバランスから実体経済、財政の安定性、企業のイノベーション、個人の富に向かう好循環がアベノミクス成功のカギだとしばしば述べている。うまくいかなければ、野党はもちろんのこと保守陣営からも手厳しい批判を浴びることになろう。また、5月末に開催されるG7伊勢志摩サミットの議長国の長として安倍首相はまずい立場におかれることが懸念される。

 

 とはいえ、向こう数週間で成長戦略の動きは急速に加速し、これに伴って円相場のボラティリティならびにリスクオンのポジションが上昇すると予想している。

 


この記事に関連する重要なリスク

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