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アベノミクスのクラッシュテスト 第2段階:バリエーションの実態
2016年02月15日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


バリエーションの実態

「アベノミクスのクラッシュテスト」は第二段階に入ったもようである。株価の大幅下落に加え、円相場は急上昇している。TOPIXは1月21日の水準まで下落、円は対ドルで114.2円まで上昇し、 2014年11月以来の高値を付けた。黒田日銀総裁のデフレ対策に関する当社の見方は正しかったが、世界市場がそれを強いているとまでは考えていなかった。差し迫った人民元安に対する不安の増大や国内のデフレリスクを勘案すると、当面、日銀のマイナス金利導入は市場の信頼感を取り戻すには不十分なようである。

では、今後の見通しはどうか。おそらく、政府はこの状況に満足せず、金融/財政政策による景気浮揚策を打ち出すとみられる。現状では、政策実施のタイミングの予測がいつにも増して重要になる。早急に動けばマイナス金利導入の実効性に対する不安をもたらすことになるからだ。

筆者は、次なる緩和の道筋は金融政策ではなく財政政策だと考えている。具体的には、2017年に予定されている消費税増税の先送りあるいは補正予算の編成が遠からず必要となるだろう。財政再建のために増税を予定通り実施しようとする官僚側、有権者の支持と2017年の消費税増税が景気後退を招くとの市場の懸念を恐れるチーム安倍のせめぎ合いが続くと思われる。

 

バリエーションのリセット 

今後の方向性が政治家と官僚の間のせめぎ合いになるとしても、日本株のバリエーションは新たな現実に向き合うことになろう。すなわち、楽観的すぎるコンセンサス予想は引き下げられると予想される。増益率をゼロとする予想は今や強気すぎると言える (コンセンサスは+10%)。


2016年3月期決算では、EPSが初めて下落すると予想される。具体的にはTOPIXの実績EPS は94円から90円に低下している(ブルームバーグのデータ)。金融業と商社の影響が大きく、特に後者はコモディティ価格の低下によって打撃を受けている。

その結果、現在のTOPIXの実績PERは14.5倍となっている。ただし、アベノミクスが想定している14~18倍の下限に近い水準ではある。

 

今後の利益は?

日本企業の利益をけん引するのはまずは売上高の伸び、次に為替であるため、市場が2016/17年のコンセンサス予想利益が強気すぎるとみるのも納得がいく。為替と増収率の複数のシナリオに応じたTOPIXのEPSとともに、フェアバリューのTOPIXに相当するPERを掲載した。


当社の基本シナリオは2017年3月期の為替を1ドル115円、増収率は2%と想定しており、これに基づくとEPSは92円(伸び率はゼロ)ということになる。一方、コンセンサスは9.8%のEPS伸び率を予想している。

また、今年度の増収率はほぼ2.7%程度になると予想されるが、国内外の景気減速を加味して売上高予想を引き下げた。増収率が2%ではなく3%になればEPSは14.1%増の105円、増収率が1%であればEPSは13%減の80円となる。

一方、増収率と為替の想定シナリオにPER12倍~18倍を乗じると、当社の基本シナリオの増収率は2% 、為替は1ドル115円でTOPIXの「フェアバリュー」は1,472(PER16倍)となる。下表の黄色部分は15日の終値を上回っていることを示す。

増収率が3%前後であれば1ドル115円でも二桁の増益を達成できる(当社の基本シナリオでは2%の増収率で利益の伸びはゼロ)。一方、円が対ドルで120円まで下落すれば、たとえ2%の増収率でも利益は5.4%伸びることになる。ただし、円が110円まで上昇すると、売上高が3%程度伸びないかぎり利益はプラスとはならない。

さまざまな要因がからまってはいるが、極めて慎重な売上高および為替の想定においても、日本株のバリューは依然として魅力的と言えよう。

ただし、コンセンサスの増益率予想は楽観的とみられるため、5月初めから半ばにかけて発表される2015年度決算までにはほぼゼロに下方修正されるだろう。

増収率と為替の想定シナリオに基づいたTOPIXの利益(2017年3月期)

 

 


この記事に関連する重要なリスク

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