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アベノミクスのクラッシュテスト
2016年01月14日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


当社は、日本のリスク資産(株式と不動産)の価値は今後数年間にわたって上昇するとの見方を変えていない。その背景には2つの要因がある。まず、当社のみるところ、日本の民間部門は企業戦略の中心として資本効率を重視するようになってきている。次に、政治家はデフレ脱却、ならびに成長を促すマクロ経済環境の整備にむけてたゆまぬ努力を続けている。いずれの施策にも揺るぎはなく、「チーム安倍」が国内外の情勢によるデフレの脅威に一致団結して対処すると当社は期待している。日銀は1月28/29日の金融政策決定会合で追加緩和を発表するとみられる。

 

グローバル市場の下落によって日本のコーポレート・ガバナンスの改革の流れが頓挫することはないだろうが、「アベノミクス」は現在、極めて厳しい状況をむかえていると考えられる。3年前に始動したアベノミクスは、ここに来て重大なクラッシュテストに直面していると筆者はみている。いかなる成長戦略であれ、世界的なデフレショックに耐えうる国力を築いてこそ成功したといえるからである。

 

デフレリスクの上昇

目下のクラッシュテストは経済と投資という大きな壁に直面している。

 

経済状況は次のようなデフレ要因に翻弄されている。

  1. 中国をはじめとする世界的な需要減退
  2. 円高とコモディティ価格の下落による輸入デフレ
  3. 資産価格下落を背景とする逆資産効果による内需縮小。S&P500は2015年5月のピークから9.9%下落しているが、TOPIXの2015年8月のピークからの下落幅は17.7%に達している。

こうした様々なデフレ要因が日本のインフレ率や成長率の見通しに及ぼす影響を正確に把握することは難しいが、感応度分析によれば円が5%上昇し、コモディティ価格が下落するだけでCPIがデフレの域に戻るのは明らかである(直近のCPIは前年比+0.3%)。無論、これらは直接的な最初の影響にすぎない。世界的にデフレ傾向と円高基調が続けば、いずれ日本の雇用と設備投資計画が打撃を受けることになろう。そうなれば、物価目標の達成がますます難しくなるのは当然である。

 

ポートフォリオリスクの上昇 – 2015年度、アベノミクスが提唱するポートフォリオのリターンはマイナスとなる見通し

ポートフォリオリスクはさらに大きい。アベノミクスが提唱する資金配分比率変更(国内債券の比率を引き下げ、国内株式と外国証券を引き上げる)の効果が弱まっているからである。具体的には、2015年度(2015年4月~)に入ってから日本株は9.1%下落しており、2011年度以来初めて株価は下落して年度末を迎える可能性がある。また、2011年度以降で初の円高の年となるかもしれない。追い打ちをかけるように、リスク資産のマイナスのリターンに対して、「リスクフリー」の国債価格は上昇しており、10年債の利回りは年度初めの40bpsから23bpsに下落している(表参照)。

 


出所:ブルームバーグ (2016年1月12日、東京終値)。FY2015 (2015年4月~)。

 

メッセージは非常にはっきりしている。すなわち、ポートフォリオのリバランスはアベノミクスの重要な政策のひとつであり、まず日銀、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)、日本郵政がいずれもリスク資産の組入比率の大幅引き上げを提唱・実行し、資産運用会社や個人投資家がこれに追随することを期待している。こうした新たな「国家モデルポートフォリオ」の今年度末(2016年3月31日)のリターンがマイナスになれば、重大な負の影響は免れないだろう。いずれにしても、「チーム安倍」はポートフォリオのリバランスから実体経済、財政の安定性、企業のイノベーション、個人の富に向かう好循環がアベノミクス成功のカギだとしばしば述べている。うまくいかなければ、野党はもちろんのこと保守陣営からも手厳しい批判を浴びることになろう。

 

政策対応 – 日銀は1月28/29日の会合に注目

すなわち、アベノミクスは重大な危機に直面していると言えるが、チーム安倍が自己満足に陥っていない点は評価できる。近々、思い切った総合経済対策が発表される可能性がある。カギとなるのは日銀である。当社はこれまで3月14日あるいは4月27日の政策決定会合で追加緩和策が打ち出されるとみていたが、国内外のデフレリスクが加速し、成長戦略の信頼性回復を望む声が高まっているため、日銀が次回の1月28日の会合で追加緩和に踏み切る可能性は否めない。実際、海外および国内の資産価格のボラティリティが高止まりすれば、強い決意で行動しないかぎり成長戦略の信憑性はかなり傷つくことになろう。

 

 


この記事に関連する重要なリスク

海外投資には、通貨変動、政治あるいは経済情勢の不確実性に因る損失リスクなどの特殊なリスク要因があります。通貨に対する投資には、信用リスクおよび金利変動などのさらなる特殊要因もあります。