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郵政民営化と金融の民主化
2015年11月11日
イェスパー・コール , ウィズダムツリー・ジャパン CEO


日本のリスク資産(株式と不動産)は、向こう数年にわたり上昇基調が続くと考えている。国内資産(資本、土地、労働力)の基本的な配分に変化に生じているとみられるため、当社は日本に対して強気なスタンスをとっている。この見方が正しければ、経済全体の生産性が向上し、特にROEは改善すると予想される。

 

当社の構造的なブルシナリオには公共政策が重要な役割を果たしている。総合政策である「アベノミクス」に加え、個別政策が打ち出されている点は朗報である。具体的に言うと、11月4日の日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の上場は真の民営化の兆しであり、市場および民間セクターを重視する政府の並々ならぬ決意を裏付けている。

 

 

国内最大の店舗網を有する企業

とりわけ、日本郵政の民営化は金融サービスを中心とする国内サービスセクター全体の本格的な改革を意味するものである。日本郵政の従業員数は国内最大、店舗とATMの数は民間銀行全体を上回り、日本国債の保有高は日銀に次いで2番目である。

 

現在、日本郵政グループの利益の90%近くは傘下のゆうちょ銀行とかんぽ生命が生み出しているが、事業ポートフォリオは多岐にわたっており、不動産、物流、サービス業などを大規模に展開している。

 

たとえば、グループの不動産ポートフォリオは民間の大手不動産会社の規模に匹敵する。ポートフォリオは十分に分散されており、一等地にある郵便局の再開発の可能性は極めて高い。高い信用格付けに分散された不動産ポートフォリオが加わり、オフィス、ホテル、医療機関、賃貸住宅、物流施設などに出資するJ-REIT のスポンサー企業となる可能性が出てきている。グループの事業の規模と幅広さがサービスセクター全体の変革の引き金となることは間違いないだろう。

 

 

金融民主化の兆し

郵政民営化の最も直接的な影響を受けるのは金融サービス業であろう。ゆうちょ銀行の保有資産は209兆円(2015年3月末時点)と、メガバンク3行を合わせた額に匹敵する。ただし、預金市場でのシェアが非常に高い一方、貸付市場のシェアはわずか1%程度にすぎず、また証券ポートフォリオの大半を占めているのは日本国債である。

 

経営陣はこの点の改革を明確な目標として掲げており、世界有数の資産運用会社への変身を目指している。ゴールドマン・サックス証券日本法人の元副会長をCIO(最高投資責任者)に迎えたほか、大手投資銀行から著名なトレーダーやリスク・マネジャーを引き抜くなど、年初から投資チームの拡充を急ピッチで進めている。優秀な人材の登用は、機動的かつ多角的な資産運用を推進する日本郵政の意図を明らかに示していると思われる。

 

つまり、2014年に国債への資産配分比率を引き下げ、国内株式や海外証券への比率を引き上げてポートフォリオの大胆なリバランスを行ったGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)と同じような道をたどっているようだ。

 

これにより、日本株式および外貨建て証券に対する新規需要を呼び込む以上の効果が生まれるとみられる。すなわち、24,000店舗という広範なネットワークを背景に、日本郵政グループは金融サービスの真の民主化を日本にもたらす可能性がある。経営陣はこの店舗網の活用を表明しており、個人投資家に様々な金融商品を提供することを目指している。

 

 

個人資産のシフト

端的に言えば、郵政民営化によりかねてより待たれていた個人資産の預金からのシフトが進む可能性がある(現在、新たな金融資産の2/3以上は現預金)。

 

すなわち、ゆうちょ銀行の株式への配分比率を1%上げれば、約2兆円の株式を買い入れることになる。さらに、家計全体の金融資産の株式への配分がわずか0.25%上げただけでさらに4.25兆円が買われることになる。これは、ここ15カ月でGPIFが株式を買い入れた額にほぼ匹敵する。

 

たしかに、民営化プロセスは端緒に就いたばかりで、新しいポートフォリオの金融商品や戦略を実際に運用するには数年がかりのプロセスになるだろう。

 

当然のことながら、的確な戦略を練るのはこれからだが、一連の新たな機会が生まれつつある。提携商品の発売やパートナーシップは金融サービス業界内の競争を激化させる可能性がある。とはいえ、重要なのは今後の具体的な道筋が見えてきた点である。郵政民営化により預金から国内株式あるいは海外証券への資金の流れは現実味を帯びてきており、また、金融の民主化が進行していくと我々は考える。

 


この記事に関連する重要なリスク

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